君が泣くと僕もかなしい

onisan-tarosan2005-12-18


けっきょくはさみを持ち出したのはどちらだったのか。
それはもう定かではないのだけれど、恋人は泣いて、わたしは洗い浚い醜いほどに打ち明けて、ついに恋人はおそるおそる、わたしを見ようとしてくれている。
彼が気づいているのかそうでないのか、わたしは知らないけれど、彼は、はじめて自分以外のために涙を流した。「こうして思ってもらえる気持ちが嬉しい。ここまで思ってもらえる存在に出会えたことが嬉しい」と、嗚咽もこらえきれずに、鼻水垂らして、長い間。今までは、自分以外の存在なんて、どこか投げやりで、期待を持たないかわりに何も求めていなかったくせに。
わたしはそれが何より嬉しくて、つい、恋人に告げたくなってしまうのだけれど、言わずに、静かに、見守ることにした。


駆け引きもできず、ただぶつかることばかりを選んでしまうような二人で、気力をすり減らしてもまだぶつかろうとしてしまうけれど、それでも、出会えて良かったなぁ、と思える瞬間はきっとこんな時。