ふたごパン、シュークリーム、ぷちフランスパン。


ぷちフランスパンは写真なし。でも、ふたごパンと同じような見た目。味違い。


パンをつくる、ということにずっと憧れていて、2ヶ月ほど前から少しずつ、少しずつつくって食べてみているのだけれど、回数を重ねるごとに少しずつうまくできるようになってる気がする、と感じてみたりしてる。けれど、まだまだ鍛錬中。
少し良いオーブンなんかがあれば、ただのスーパーで買った強力粉でもとんでもなく美味しくなるんじゃなかろうか、ということを思ってしまうのは、たぶんただの贅沢。だけどなかなか消えない。欲は尽きない。なんてことを考えたり考えなかったり。


シュークリームは、珍しく冷蔵庫に無塩バターが余っていたのではじめて挑戦してみた。
電子レンジをフル活用してクネクネやってみたら、案外うまくいったので少し調子に乗ってみたりした。カスタードクリームも美味しかった。
ただ、シューの中にカスタードを絞りいれる、ということをやってみたかったのに、カスタードが少し硬くて、うまく入っていってくれなかったことが少し悔やまれるところ(けっきょく上を切ってカスタードを入れてふたをした)。


誰かに食べてもらえて、それを美味しいと言ってもらえて、「またつくってな、」と言われることが何よりうれしい。自分で食べることももちろんだけど。


参考書

みかさんの手づくりパンのある楽しい食卓

みかさんの手づくりパンのある楽しい食卓

この本を見ながら、は初めて。
いろいろなレシピ本があるけれど、同じような見た目なのに味が全然違うことに驚いた。
たぶんわたしは、このつくり方がいちばん好き。

confusion(混乱/乱雑) 3/26

onisan-tarosan2007-04-23


こころが鈍感でうまく考えがまとまらない。


ピンクのフラミンゴは歌を歌い、火災で子供が置き去りにされる。時に、怪物はスキップをして、鼻歌を歌いながらシャクナゲの花を喰らう。盗みを趣味とするフェレットは自分の醜さに怯えてダイエットを繰り返し、そして、母親はチラシで折鶴を折りながら、黄緑色のたてがみを持つライオンが辞書をめくるのを嘆くのだ。
ものを食す行為を忘れてしまった物の怪は、通り魔に顔を切りつけられ、就職単位サークルバイト、彼女のことまで忘れて道行く人をすべて悪とみなした。アパートのベランダではカラスが舞い降り、老衰で静かに眠っていく中年男性を見守り、琥珀色をしたテディベアは退屈そうに空を仰いで、今日も愛するベコニアが幸せであることを願い続けた。


サバンナで草を食むキリンは言う。「自由とはその意思を指すのだ、と言い放ったのは誰だったのか」


人々は、ただ自分を護りとおし、自分が大切だったものが何だったのかをすっかり忘れてしまった。
それでもきみは、いつも変わらず優しく美しく微笑んでいる。ふわりふわりと前を向いている。
僕はただ、その姿を神のように崇めながら観覧車の上から墜落。遊園地の陽気な音楽に胸躍らせて、回転木馬のてっぺんに突き刺さってしまうことしかできない。


今日も誰かが殺され死刑の判決を受け執行のボタンを押しがたんとその床が抜けてそして、新たな命が生まれていった。
小さな部屋の窓を開け、麦茶を飲もうとコップに手を伸ばし、すべてに意味などないことだけは理解することができた僕はやっと、きみを失うことの哀しさに涙を流すことができたのだ。

ブックカバー(新書用)

ブックカバーっていろいろあるけど、新書に使えるのってなかなかないなぁ、と少しもやもやしていたのでつくった。
最近買って、使いたくてうずうずしていた青い花柄の布を外側に、一緒に買った黄色のストライプ花柄を内側に。あとは黒のギンガムチェックと茶色の水玉で。サイズは少しはかって後はあてずっぽうでつくってみたのに、驚くくらいにジャストサイズだったのでうれしかった。


栞をつけるのを忘れてしまっていたのだけれど、前からあったらくだの栞をつけてみたら案外良かったので、使う時はこのセットで使おうと思う。

borderline(境界線/きわどい) 2/26

わたしのまわり、全身の皮膚からちょうど十五センチのところには、薄い膜がはっている。
その膜は、全身隈なく覆っていて、でも不思議と物は掴めるし食べることもできるし服を着ることもできる。服を着ると、薄い膜はふわりと浮いて、服ごしに、またわたしの身体を包み込む。白シャツ、リボン、チェックのスカート。そのどれもが膜に包まれ、風にも揺れない。いつも生暖かく、湿っている。
その色は薄い青色で、わたしの世界はすべて薄青く見える。そのせいか、わたしの記憶はいつも薄青くひかり、ぼんやりとしていて、いつしか、わたしは昔のことも昨日のこともあまりうまく思い出すことができなくなった。この膜がはられたのはいつからだったか、それすらもうまく思い出すことができないけれど、膜がなかった最後の日、わたしは新しい制服を来て、あの子と一緒に笑っていた。桜の木の下、大きな門の前、青い空。その記憶はとても鮮明で、鮮明で。その記憶だけがわたしを掴んで離さない。


「わたしはなぜ、あの時あの子と笑っていたの?」
その理由はもうすでに、薄青い沼の中。


「ねえ、今なんか聞こえなかった?」
「え?何も聞こえないけど。何それ。なんかきもーい」
走り出す、笑いながら、逃げるように。揺れる、スカートの裾。


わたしは薄い膜の中、その記憶だけを抱きしめて、静かに息づき、ひっそりと生きている。

がま口ポーチ


今までほとんどの化粧品を持ち歩いていたけれど、お泊りなどなどあまりしなくなって、全部が必要なくなったから、化粧なおしができる用のポーチがほしくてつくった。
ずいぶん前に買ったストライプと最近気に入っているオレンジの花柄と。中は汚れても良いように茶色のドットにした。
ちゃんとアイロンをかけて接着芯もはったからか、自分でつくったにしてはけっこう頑丈で、さっそくカバンに入れてはひとりニヤニヤしてみたりして。


参考書

かわいくてちゃんと作れるBagの本

かわいくてちゃんと作れるBagの本

anniversary(記念日) 1/26

きみは言う。「僕はいつまでこうして穏やかな気持ちで生きていられるんだろう」と。
春の雨、かすかに冷えた空気、間に割ってはいるストーブの、ぼんやりとした赤い光。ストーブは、一度片付けたけれどまた押入れから出した。春の雨は長い。雨の夜は冷える。
きみは猫背で、テレビの画面に見入っている。ゲーム機のコントローラーを握りしめ、瞳は輝く、けれど口はだらしなく開いている。
「何よ突然」わたしは笑う。軽く、ニラを切る包丁から目を離さずに。今日は野菜炒めと、ニラのナムルをつくる。もう他の野菜は切り終えた、玉ねぎもにんじんもキャベツも。豚肉の解凍もすんだ。
「今はきみがいて、部屋は暖かくて、やりたいこともあって、好きなこともできているけれど、」きみはテレビの画面からは目を離さない。ズガガガガ、ビューン、機械的な音が声を遮る。と、同時にきみの言葉もふっととまる。「ちょっと音、大きいんじゃないの?」包丁を持ったまま、きみの方へ声を投げる。
「もしかしたら、今日、僕は急病で死んでしまうかもしれないし、突然ライオンがこの部屋に入ってきて、きみが食べられてしまうかもしれないし、そうでなくても、眠っている間に大地震がやってきて、僕らはこのちっぽけなアパートごと、のみこまれてしまうかもしれないんだよ」きみはコントローラーから手を離し、リモコンで音量を律儀に3つ下げてから、台所へとやってくる。冷蔵庫のとびらを開き、オレンジジュースを飲む。1リットルのパックを直接口へはこぶ。
「もう、ちゃんとコップに注いで飲んでよ、そうやったらすぐなくなるんだから」包丁を置く。もう切るものはない。二人分は案外少ない。
ストーブの前でのうのうと眠っていた猫がのびをしながら「ニャー」と鳴く。


「だから僕は、今日という日をきちんと生きなければいけないと思うんだ。もし僕が今日死んでしまったとしても、今日という日が僕の人生最後の日として最高の一日だった、と思えるような一日にするために」フライパンを戸棚から取り出すわたしに後ろから抱きついて、小さく、ため息なんてついている。もう胸がいっぱいだとでも言わんばかりに。
「わかったわかった、じゃあ何かお祝いでもする?人生最後の日おめでとう、とか?」サラダ油を諦めたわたしは冗談のつもりで言った、はずだったのに、きみは素直に「うん」とこたえた。
「悔いを残さないために、僕はこれからコンビニでプリン買ってくるよ、それでお祝いしよう」何かを納得した様子で、きみはすんなりとわたしから離れ、部屋へ財布を取りに戻る。玄関でスニーカーをつっかけ、きみは部屋を出て行った。バタン、ととびらがしまる。


ただ、プリンが食べたかっただけだろうに。いつも何かしら深刻ぶっては、コンビニへお菓子を買いに行くんだから。テレビはついたまま、ピュンピュンピュンピュン、機会音は鳴り続ける。誰もいない部屋にストーブの赤い光。
やっとフライパンを火にかけ、野菜も肉も一気に入れる。ジュー、と大きな音がして、右手の甲に熱くなった水滴が飛んだ。
猫は気ままに縄張りの点検を終えると、爪とぎでガリガリボリガリ、と爪を研いだ。


そうだ、せっかくだから本当にお祝いしてやろう。
お茶碗にごはんを山盛りもってやって、ろうそくを立てて。部屋を暗くしてろうそくを灯して、おもいっきり笑顔で「おめでとう」と言ってやろう。変なところでうるさいきみは、怒るのだろうか、笑うのだろうか。
そんなところを想像すると、なんだか幸せな気分になってきて、わたしはひとり、にやにやしながらフライパンの中の、少ししんなりとした野菜の上に塩コショウをふった。

さも昨日まで同じことをしていたかのように

onisan-tarosan2007-04-16


1日のはじめにまず悩んでしまうこと。
お昼ごはんをどうするか。食べるのか食べないのか何を食べるのか買うのかつくるのか。うだうだとぼんやりと考えながら、1時間2時間とやりすごす。でも、そのうち手も足もとても冷たくなってきて、やっと観念して、重い腰をあげる。そんなお昼どき。
誰かが一緒にいてくれれば、ただ欲望のままにさらさらと流れてしまうことができるのに。そんなことを少し思う。


食べものの、なくなっていってしまうところが嫌い。
それでも、お腹がすいてしまう自分がもっと面倒なのかもしれない。